自動車ユーザーにとってクルマの用途というものは、言うまでもなく運転ですよね。つまり車は操縦者の運転によって、より早く、快適に目的の場所へ移動できる「手段」という捉え方もできますが、殆どの場合、私達にとってそれができないクルマは、自動車としての価値がないと言えます。ですが、「走行不可」というレッテルを貼られてしまう車は、実際の走行機能を失ってしまったものに限ったことではありません。
例えば、自動車検査証の切れた車もそうですし、違法に改造された車もそうです。
このようなクルマは機能的に見て十分な走行が可能だとしても、日本の道路を走ることはできません。
そして、過走行車についても、走った距離が多ければ多いほど、残りの走行機能の寿命が少なくなるため、20万キロも30万キロも走った車は厳密に言えばまだ走ることができても、市場的に「査定額0円」と見なされるのが普通であり、事実、自動車としての価値はなくなってしまったことになります。
車検切れならまた車検を通せば良いですし、違法改造車は法の適応内で行えば再び走ることができますが、寿命を迎えた車はそれができません。ですから、「後どれくらい走れるか」ということは、その車の価値を決める際にとても重視されるのも当然のことです。
更に、過走行車はメンテナンスの手間も多いことからも、走行距離の多い車が中古車としての価値を下げてしまうことは避けられないでしょう。
では、車の寿命ってどれくらいなんでしょう。
一般的には、中古車査定の市場において、「10万キロを超えた車には価値がない」という話を良く聞きますが、実際に走行に様々な支障が出てくる車の寿命というものは30万キロ程度だと考えられています。もちろん、どのようにクルマに乗ってきたかによって変わってきますが、それにしたって20万キロもの差が出てきてしまっていることに違和感を感じずにはいられませんよね。でも市場価値としては残念ながらこれが現実であるということも認めなければなりません。ただし、それはあくまで「日本」という国においてのお話なんです。実は海外を見ると、「走行距離がたかが10万キロなんて、まだまだ新車の部類だよ!」なんて感覚の方もいるくらい長ぁ〜くクルマに乗る習慣があり、市場についても同じことが言えるのです。こうして見ると、日本人はクルマを乗り換えすぎのようにも思えて来ませんか。
『車』として売るよりも、『スクラップ』にしたほうが価値が出ることもこのように、「海外で活躍してもらう」というのがひとつ、そしてもうひとつは、まだ走れるクルマとして使用するのではなく、スクラップにして「資源」として再利用したほうが値段がつくということもあるのです。
言い換えればクルマは「鉄のカタマリ」ですから、鉄が貴重な現代では、たとえ走行可能という自動車としての価値がなくても、大切な資源としての価値が残っています。つまり、長年乗ったクルマの行く末をどうするか、あなたの選択肢はいろいろあるということを覚えておきましょう。
そして、一番納得の行く方法で、後悔しないように車を手放したいものですよね。